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2011年12月11日 (日)

普通の就活、普通ではない就活/【書評】『放っておいても明日は来る』


世の中には、普通の就活生と、普通ではない就活生がいるかと思います。
普通の就活生とは、リクナビやマイナビに登録して粛々と企業の情報を集めたり、スーツをビシッと決めて合同説明会に参加したり、志望動機と自己PRを磨きあげて面接に臨んだりする就活生のことです。
普通ではない就活生とは、以上の「王道」を避ける方向に進んでしまう就活生のことです。
程度の差はあれど、大抵の就活生は「普通」の方に軸足を置いて就職活動をするのではないかと思います。
あるいは、大学3年生の秋に生まれる大量の「普通の就活生」の一部が「普通ではない就活生」というダークサイドに堕ちるということもできます。
私は御覧の通り、ダークサイドに堕ちたクチで、何の縁だか、中国へ来て働くことになってしまいました。
私がちょうどダークサイドに堕ちたあたりで読んだのがこの本でした。

本書は、就職が決まったと思ってマレーシアに飛んだら会社がなくなった人や、地名がかっこいいからという理由でラオスのビエンチャンにカフェを開いてしまった人など、「普通ではない」人の話がオムニバス形式でまとめられています。
本書から得られる教訓は、書名からわかる通り、「たいていのことはなんとかなる」です。

就職面接に臨む上で重要だとされているものに、「自己PR」とともに「志望動機」というものがあります。
私が就職活動でつまずいたのはこの「志望動機」でした。
自己PRは、自分の過去を基に売り込むためのエピソードです。
その意味で、過去指向で構成されているということができます。
質はともかく、過去を洗えば何かしらのものは出てくるものです。
一方、志望動機は未来指向です。
人、環境、自身の興味、やりたいことなど、志望動機を構成し得るものは様々ですが、入社後のことを考えなければならないという点で、未来を指向しています。
私はこの未来指向がとことんできませんでした。
未だに苦手です。

そんな私にとって、「たいていのことはなんとかなる」を地で行くこの本は、バイブルのようなものです。
読むと良い就活本は何かと聞かれたら、真っ先に本書を挙げます。
確かにこの本には、ESの書き方や面接に通る秘訣は載っていません。
それでも、最良の就活本だと思います。
「普通ではない就活生」にとっては、普通ではないぶっ飛んだ行動を後押ししてくれるかもしれません。
「普通の就活生」にとっては、辛い就活戦線を生き抜く上での一服の清涼剤に必ずやなってくれることでしょう。
○○しなければならない/してはいけない、という思考を越えたところに人生の楽しみがあるのではないかと、このように考えています。

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