« 中国大陸版Windows Phoneの「人脉」機能についてわかった3つのこと | トップページ | 【書評】『ネットの自由 vs. 著作権』 »

2012年12月 9日 (日)

【書評】 『より良い外国語学習法を求めて』

先日、HSKを受けたという記事を書きました。
その結果が試験から1か月後にあたる2週間ほど前の日に発表されていました。

Hsk

合格でした。
しかしながら今後も中国語学習を続けるつもりであります。
まだまだできないことはたくさんありますゆえ。

そんなわけで手に取ったのが竹内理『より良い外国語学習法を求めて』(松柏社)。
学者が定性的に研究した結果を記しているだけあって、内容の信頼度はかなり高いです。
その辺の情報商材まがいのものとは比べ物になりません。

研究書の色合いがかなり濃いので、サプリメントのような、すぐ効く簡易な上達法を求めている人にはお勧めしません。
そういう人はインフォトップとかで「中国語」とかキーワードを打ち込んだら出てくる5000円から1万円くらいのマニュアルを買ったらいいと思います。
内容は保証しません。
逆に、1つ1つの勉強法の効果を意識しながら学習を進めたい人にはお勧めです。
「この方法がなんだかいいらしいから」と漠然と取り組むよりも、学習のメカニズムなんかを意識した方が確かに効果は上がる気がします。

本書では最終的に、成功につながりやすい方略を31あげていますが、ここではそれを掲載することはしません。
学習効果の裏付けを掲載しないで方略だけ掲載するのは、本書の意義から見れば片手落ちですので。

本書を通して私が大事だと思ったこと、感じたことをいくつかにまとめてみたいと思います。

  1. 王道はない
  2. 何よりもこれです。
    本章で示したような、どちらかといえば当たり前の方法や活動を根気よく、着実に続けていくことができるかどうかに、学習の成否がかかっていくことになる。(208ページ)

    学習が行き詰まるとスピードラーニングのような、簡単に効果が得られそうな方略に向かいそうになりますが、外国語学習の成功者はむしろ地道な方法で学習を続けています。
    本書では、外国語学習は急速に伸びる時期と停滞する時期があることを認識することが重要だ、という点についても言及されています(200~201ページ)。
    ドラクエと同じだと思います。
    モンスターを倒すと、倒した数に比例して強くなるのではなく、経験値が一定値までたまると強くなる。
    この「すぐには強くはならないけど経験値をためる過程」を我慢できるかどうかがポイントかなあ、と、このように思います。

  3. リスニングは「深く」「細かく」聞くものと、「広く」聞くものがある

  4. リスニングというと内容を理解することに注意が向きがちですが、実は「音変化のデータベースを構築する」という側面もあります(173ページ)。
    意味を理解できなくても、音を取ることに意味がある、ということです。
    特に学習の初期で大切だそうです。
    また、テレビ番組など映像情報があるものは「深く」聞く妨げになるので、「音変化のデータベースを構築する」ための練習においては避けるほうがよいそうです(「広く」聞く練習においては一定の意味があるそうです、誤解されないよう)。
    私はいまだにリスニングで苦労していますが「深く」「細かく」聞く練習をおろそかにしていたからだと思います。
    思い返してみると、私がリスニングに使っていたのはテレビ番組が多く、意味を理解することに集中していました。

  5. リスト化した語彙の暗記が効果的なのは学習初期か後期

  6. これは結構衝撃的ではないのでしょうか。
    単語リストを作って語彙を増やす勉強法が有効なのは、基礎語彙を習得する学習初期と、専門的な語彙を習得する学習後期にのみ有効だとのことです(205ページ)。
    学習中期では例文を作ったり、発音したり、とあの手この手で覚える必要があるようです。
    これをやらないでやみくもに暗記することには悪影響がある危険性すら指摘されているので恐ろしいです(189ページ)。

  7. 授業の効果は限定的である

  8. 8割くらいは私の私見なんですが、授業ってそんなに大事ですかねえ、と。
    本書では、外国語学習で一定の成果をあげた人にどのような学習をしたか聞く、という調査方法をとっているのですが、語学学校での授業については特に言及されていませんでした。
    まあ学習方法を聞かれて「授業に出る」と答える人はおらんのかもしれませんが。

    語学学校の授業は「効率的だ」と思われている節がありますが、私はそんなに効率的でないと思います。
    なぜなら授業の時間とは別に、授業で得た知識を頭に定着させるプロセスが必要だからです。
    本書で言うところの「自動化」でありまして、地道な反復練習をすることで果たされるものです。
    1時間の授業に知識を定着させるための復習、さらには予習と宿題もやらねばならぬとなると、トータルで2時間くらいの学習プロセスになります。
    果たして効率的といえるでしょうか。
    授業はハサミと同じで、使い方によっては有用だと思いますが、私の体感では本当に使いこなせている人は1割もいない気がします。

    1時間の授業をやめて、ニュースのような文章の流し読み・精読・音読数回に充てる。
    これで授業に出るよりも効率的に学習できると思うんだけどなあ。
    もちろん右も左もわからないうちは授業で教えてもらうよりしょうがないですが、ある程度まで力がついたら自習の方が効率的になる段階が来ますよ。

« 中国大陸版Windows Phoneの「人脉」機能についてわかった3つのこと | トップページ | 【書評】『ネットの自由 vs. 著作権』 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1317035/48135947

この記事へのトラックバック一覧です: 【書評】 『より良い外国語学習法を求めて』:

« 中国大陸版Windows Phoneの「人脉」機能についてわかった3つのこと | トップページ | 【書評】『ネットの自由 vs. 著作権』 »

twitter

2018年11月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30  
無料ブログはココログ