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2016年2月21日 (日)

2015年の中国ボードゲーム事情を振り返る

春節も終わったことですし、2015年の中国のボードゲーム事情を振り返ってみようと思います。
参考に、去年書いた中国ボードゲーム概況記事へのリンクを張っておきます。

中国(大陸)のボードゲーム/テーブルゲームについて 2015
http://raytiagu0802.cocolog-nifty.com/blog/2015/03/2015-6cd2.html

○クラウドファンディングの活用
2015年を一言で表すとクラウドファンディングによるボードゲームの出版が進んだ一年でした。
私の記憶では、中国でボードゲームの出版にクラウドファンディングが使われたのは2014年10月の『錦鯉』(Koi Pond)が初めてでしたが、これはアメリカのDaniel Solis氏がデザインしたゲームをJoypieが出版したものです。
2014年12月には『唐伯虎点秋香』が資金集めに成功し、中国産ボードゲームのクラウドファンディング活用の第一号となりました。

Photo_2 ↑『唐伯虎点秋香』は同名の喜劇がモデルの人狼風ゲーム。

2015年に入ると国内外ゲームの出版への活用が加速しました。
ざっと順不同で上げると、『きぎ』(Joypie)、『ニューロシマ・ヘクス!』(MYBG)、『動物大戦』(Joypie)、『スルー・ジ・エイジズ』(一刻館)、『コードネーム』(一刻館)、『テイルズ・オブ・ジ・アラビアンナイト』(MYBG)などです。
このうち、国産ゲームとしては『動物大戦』が、海外ゲームとしては『スルー・ジ・エイジズ』がそれぞれ調達額154,365人民元(約270万日本円、出資者497人)と247,007人民元(約430万日本円、出資者555人)で、私が確認した範囲ではトップになっています。
国外ゲームのプロジェクトが多いですが、現在『嘿!蚊子』(意味は「おい!蚊!」)と『森林指揮家』という2つの国産ゲームプロジェクトが進行中です。
2016年もクラウドファンディングの活用が進み、基本的な出版ルートの1つとして定着するのではないかと思われます。
特に、これによって個人による出版のハードルが下がり、国産ゲームのデザインが活発になることが期待されます。

Photo_3 ↑蚊を操って人間の血を吸うゲーム『嘿!蚊子』。
Photo_4 ↑2人用の特殊効果付きアブストラクト『森林指揮家』。

なお、台湾の主なボードゲームのクラウドファンディング調達額は『ポンジ・スキーム』が432,415台湾ドル(約150万日本円、出資者247人)、『パズル・ザ・大稲埕』が1,624,091台湾ドル(約550万日本円、出資者1,111人)、『KMT Wars』が4,204,467台湾ドル(約1,400万日本円、出資者3936人。ゲームの政治色が色濃いので、ボードゲームファン以外の出資も入っているかもしれない)です。
単純に人口の比率を考えると中国ゲームの調達額はやや寂しく、中国のボードゲームもまだまだ伸び代があるのではないかと思います。

国外に目を向けると、2015年6月から7月にかけてキックスターターでクラウドファンディングが行われた『ディセプション』(北米地域のみ『Deception』のタイトルで出版されており、その他の地域では『CS Files』というタイトルになっている)は、2011年に広州の千騏動漫から出版された『犯罪現場』のアートワークを刷新したものです。
私はこのゲームは完全にマークしておらず、まだまだ面白いゲームが中国に眠っているのかもしれないと思っているところです。
なお、千騏動漫はアークライトから出版されている『裏切りの工作員』の元になったゲーム『風声』のメーカーでもあります。

○ボードゲームイベント
中国でオリジナルのボードゲームを作る難しさの1つに、国土が大きいためにイベントを開いても全国から来場者を集めることが難しく、全国的な定期発表の場が用意されていないということが挙げられます。
かつては上海でIEBGという展示会が2012年と2013年に開催されましたが、その2年で終了しています。
可汗遊戯大会(Khan Kon)という実際に遊ぶのが主体のイベントや、施魏因冬季聚会などスポットのイベントはあったものの、日本のゲームマーケットを目指せるような定期発表の場は出てきていませんでした。
そのような状況の中で昨年8月、北京で「Dice Con」というイベントが開催されました。
これはかつてボードゲーム雑誌を発行しており、現在は電子版の記事やポッドキャストを作成しているメディア「DICE」が主催したイベントです。
このイベントは2日間開催され、計2,017人が参加し、27のブースが出展されました。
13の主要メディアにも紹介されたとのことです。
参加人数はまだまだゲームマーケットには及びませんが、今後毎年定期開催される中で規模を拡大し、主な発表の場となることに期待がかかります。
なお、このイベントもクラウドファンディングで資金調達されています。

○2016年に向けてのまとめ
中国産ゲームの隆盛というのはいわゆるひとつの「中国夢」であります。
これまでもショップやメーカーによるデザイナーの支援などが試みられてきましたが、クラウドファンディングによって格段にオリジナルゲームを作りやすくなっているというのが現在の状況だと思います。
今後の課題はDice Conが発表の場として機能すること、そして台湾や香港を含む国外との交流を広げることではないかとおもいます。
特に国外との交流を増やすことには、すでに一定の経験を持っている国外デザイナーからのフィードバックをもらえたり、海外に展開できたりといったメリットがあります。
『風声』と『犯罪現場』はそれぞれ台湾と香港のメーカーが窓口となって海外展開が実現した例です。
FacebookやTwitterへのアクセスが制限されているせいで、ネット上でつながることすらままならず、この点は今後も課題であり続けるかもしれません。

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