Windows Phoneに捧ぐ哀歌
私はWindows Phone(WP)が好きだ。
初めて買ったスマートフォンのOSがWPで、それ以来、機種は変えながらもWP OSのデバイスを使い続けている。
マイナーOSだのアプリが少ないだのいわれつつも、その不便さがいいんだよといいながら使い続けてかれこれ6年になる。
とはいえ不便なのでここ数年はAndroidと併用してきたが、いよいよWPを見限らざるを得ない日が近づいているようである。
Microsoft、ついにWindows Phoneの終了を確認
https://jp.techcrunch.com/2017/10/10/20171009this-is-not-a-drill-microsoft-admits-windows-phone-is-dead-for-real/
まだWPに息があるうちに、私とWPのこれまでを振り返っておきたいと思う。
スマートフォンは今でこそ若年層にすっかり普及しているが、私が大学生だった8年ほど前はまだ物珍しかった。
当時はスマートフォンといえばiPhoneで、「スマートフォン」と「iPhone」という言葉がほぼ同義で使われていた。
「iPhone就活」なんて言葉もあり、iPhoneが就活に役立つだなんていわれていたが、その内容といえばスケジュール管理に便利だなどという話であって、
iPhoneが就活に役立つというよりは、iPhoneが生活に役立つという話だった。
そういえば当時はTwitterが普及し始めたころで、ダイヤモンドや東洋経済などのビジネス誌がTwitter特集を組んだりしていた。
社会的にそういう「Twitterが来るらしい」という空気があったので、「Twitter就活」なんて言葉もあったが、これは「iPhone就活」に輪をかけて中身がなかった。
今でもこういう言葉あるんですかね。
大学を卒業すると同時に私は中国・大連へ渡るわけなのだが、このころになるとiPhoneにやや遅れてAndroidという選択肢が増えてきてはいた。
とはいえスマートフォンはまだ一部のもの好きが使うものという扱いだったのか、私が新卒で入った会社にはスマートフォン手当なるものがあった。
スマートフォン購入時に1000元補助してもらえるというものだ。
IT系の企業だったから、会社としては今後普及するであろう先進的なガジェットに触れてほしいという思いがあったのだと思われる。
しかし、新しいものに手を出すというのは勇気がいるものだ。
それまでの人生がずっとガラケーでうまく回っていたものだから、私もやはり当初はスマートフォンを買う気にはなれなかった。
だが2年目になると状況が変わった。
電子辞書が壊れてしまったのだ。
新しい辞書を買い直すことも考えたが、どうせならこのタイミングでスマートフォンを試してみようという気になったのだ。
そして、どうせ買うのなら何かみんなとは違うものを買いたいという気にもなった。
そのような頭で家電量販店に行ってみると、そのようなものが目に入るものだ。
こうして私は初めてのスマートフォン・Lumia 610と出会い、我が家に迎え入れることになった。
Nokiaが展開していたLumiaシリーズの中でも最初期のものだ。
会社のスマートフォン手当の対象がiOS/Androidデバイスに限ると知ったのは後日の話である。
差別だ。
ハラスメントだ。
Windows Phoneハラスメント、略してウィフォハラだ。
そして、中日辞書の代わりにはならなかった。
辞書アプリがなかったからだ。
辞書アプリはなかったものの、当時のWPの評価といえば「最低限のアプリはある」だった。
TwitterもFacebookもあったし、WeiboもQQもWeChatもあった。
WPのデバイスは、当初の日本ではauが1機種出していただけだったのに対し、中国にはLumiaシリーズを含めてそれなりの選択肢があったので、アプリの充実度も中国のものの方が高かったように思う。
その後、WP OSはWindows Phone 7からWindows Phone 8、Windows10 Mobileとアップデートされ、
私もLumia 610からLumia 520、NuAns NEOへと買い換えてきた。
iOS/Androidに比べたらアプリの選択肢が少ないことはわかっていたものの、「最低限のアプリはある」で済んできたからだ。
とうとう流れが変わったと思わされたのは、2年ほど前のことである。
シェアバイクやQRコード決済など、昨今の中国すげえ論を引っ張るサービスが台頭してきたのだが、これらのサービスはハナからWPに対応する気がなかったのだ。
WeChatの電子マネーは友人への送金に限られているし、AlipayにはQRコード読み取り機能がない。
シェアバイクに至ってはMobikeもofoもWP対応アプリすら用意していない。
また、ゲームが圧倒的に足りないのも痛い。
ゲーム翻訳もやる身としては、成長著しい中国製モバイルゲームを体験できないのは業務に支障が出る。
ここに至るまでの数年間、Nokiaはモバイル部門をMicrosoftに売却、
WPが登場した当初はWP OS搭載デバイスを出していたHTCやZTEらも後継機を出さないなど、
確かに中国におけるWPの影響力は如実に低下していた。
日本においてはなぜかKATANAやMADOSMAなど国産WP搭載機が集中してリリースされた時期があったものの、
これは消えかけのロウソクの火が一際大きな光を放つというアレだったのかもしれない。
ともかく、私はWP以外の選択肢を探すべき時期にきていた。
今、そんな私の手元にはNokiaブランドのAndroidデバイスがある。
一度はMicrosoftにモバイル部門を売却したNokiaだったが、名義貸しのような感じで今でもその名を残しているらしい。
WP OSが完全に逝くまでは、今持っているWPデバイスも使い続けるつもりだが、たとえWPがこの世からすっかり姿を消したとしても私はWPの幻影を追い続けるのだと思う。
上海から日本に帰ってくる直前、ずっと手元に残してあったLumia 520を業者に買い取ってもらった。
10元だった。
きょうび、牛肉麺だって20元くらいはする。
泣きたい。
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