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2018年9月25日 (火)

ミステリー系RPG『王府百年』会レポート

最近中国で流行っているゲームジャンルのひとつに、「謀殺之謎(Murder Mystery Game)」というものがあります。
事前に殺人事件のシナリオが用意されており、協力して事件の犯人を捜すのが主な目的となります。
シナリオが決められているため、一生で1回しかプレーできないのが特徴です。

ネット掲示板でAsmodeeの『Death Wears White』が話題になったのがブームの発端だと思いますが、
それから大手のヨカゲームズ(遊卡卓遊、Yoka Games)やその他のパブリッシャーが参入して一大ジャンルとなっています。
もともと中国には「大学生が比較的大人数で集まってゲームカフェでわいわいやるゲーム」枠といえるものがあり、
その枠のゲームは『天黒請閉眼』(人狼の亜種、バラエティ番組から流行った)→『三国殺』→「人狼」と変遷してきたのですが、
人狼ブームが落ち着いたところでこのマーダー・ミステリーが取って代わったという状況だと私は認識しています。

さて、そのようなことを知識としては知っておりましたが、実際にマーダー・ミステリーのゲームをプレーしたことはありませんでした。
一度どのような流れでゲームが進むのか見てみたいと思っておりましたので、先日のDICE CONでこのジャンルのゲームを購入し、
内容物を私が翻訳したうえで、体験する会を東京で開催することになりました。

Img_20180831_090536

友人4人にボードゲーム業界の方が2人、編集者の方が2人と、合計8人に集まっていただきました。
普段の私には縁遠い方にも集まっていただき、大変恐縮です。

今回プレーしたゲームは謎之推理社の『王府百年』。
このジャンルの初心者向けとしておすすめされました。
シナリオの導入部分はこんな感じです。

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愛新覚羅奕劻(あいしんかくら・えききょう、1838年3月24日~1917年1月29日)は晩清宗室の重臣、清朝初代内閣総理大臣、満洲鑲藍旗。西太后により慶親王に封ぜられる。
奕劻の逝去から100年後、その旧居・慶親王府が観光業界の重鎮・羅利(罗利/ら・り/Luo Li)の目に留まり、政府の承認を経て観光地として開発されることとなった。拡張資金の調達のため、羅利は公開入札を募集。最終的に3人の投資家の共同投資により開発を進めることが決定された。落札者の決定後、羅利は王府で関係者の会食会を開催することに。
会食会の翌朝、事態は急変する。王府の表の庭の草むらで一人の女性の死体が発見されたのだ。調査の結果、被害者は楊清華(杨清华/よう・せいか/Yang Qinghua)、開発エリアのスタッフだ。死体が発見されると、王府は混乱の渦に包まれ、人々は疑心暗鬼となった。そこで、全員で警察に協力し、犯人を探し出すことになった。
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プレーヤーが選択できるキャラは次の9人。

  • 羅利(罗利/ら・り/Luo Li):男 34歳 開発エリアのリーダー
  • 決断力があり、野心家で、リーダーシップがある。
  • 王小馬(王小马/おう・しょうば/Wang Xiaoma):男 29歳 開発エリアのスタッフ
  • 被害者の彼氏。イケメンの若者で、有能。
  • 金名(金名/きん・めい/Jin Ming):男 38歳 投資家
  • 礼儀正しく、落ち着きがある。紳士的。
  • 楊娜娜(杨娜娜/よう・なな/Yang Nana):女 28歳 投資家
  • 若い美人。唯一、個人名義でこのプロジェクトに投資を行っている資産家。
  • 趙一明(赵一明/ちょう・いちめい/Zhao Yiming):不特定 35歳 料理長
  • 料理の腕は普通だが、真面目で几帳面。
  • 段瑞(段瑞/だん・ずい/Duan Rui):不特定 45歳 考古学者
  • 文物の鑑定のため招聘された。学術研究に情熱を注ぐ。
  • 秦風(秦风/しん・ふう/Qin Feng):不特定 28歳 考古学者の助手
  • 内向的な性格で、ミスが多い。
  • 張其(张其/ちょう・き/Zhang Qi):不特定 28歳 開発エリアのスタッフ
  • 控え目な性格。てきぱきと仕事をこなす。
  • マークス(马克思/ - /Marx):不特定 26歳 投資家
  • ロシア人。明るい性格で、若くして有能。

Img_20180922_135422

各キャラに背景や事件当日の行動が設定されており、各プレーヤーは各々の知っている情報を交換することで犯人を捜す(犯人役の場合は逃げ切る)ことを主に目指します。
私は事前にシナリオを知っていたのでGMに回り、プレーヤーは合計8人。
8人プレーの場合は特定のキャラ一人がNPCになります。

プレーヤーの主な情報源は、他のプレーヤーの話、そして次の写真のようなカードです。

Img_20180922_224710

カードは各キャラと死体・裏庭・従業員休憩室のものが数枚ずつ用意されています。
カードをめくると有限のポイントを消費するため、自分一人の力では真相にたどり着くことはできません。
犯人を見つけるためには全員で積極的に情報を共有したいところですが、各キャラには犯人捜し以外の目標が個別に定められているため、中には秘密にしておきたいこともあるでしょう。

今回は開発プロジェクトの発起人・羅利がリーダーシップを発揮してポイントを早々に使い切る一方で、
考古学者の段瑞は捜査に慎重。情報もあまり他者と共有せず、どうにも挙動不審気味。これが不信を招くことに……。
王小馬は被害者の彼氏という立場のために疑惑の目を向けられ、対照的に序盤の張其は全員がほぼノーマーク。
終盤で犯人役が重要な証拠を握りつぶしたこともあり、ゲームは犯人の逃げ切りで終了しました。
各キャラの設定と各人のプレースタイルが混ざることで、その瞬間でしか共有できない展開が生まれるのがこのジャンルのゲームの魅力のひとつだといえそうです。
プレーヤーのみなさんからは、「2時間構成のミステリードラマの登場人物になった気分が味わえた」、「ミステリー好きなら絶対にはまる」などといった感想をいただきました。
感想戦も、さまざまな伏線を回収したりして非常に盛り上がりました。

今回プレーした『王府百年』は、マーダー・ミステリーのうち「オープン型」と呼ばれるタイプで、比較的自由度が高いそうです。
一方、これとは別に「クローズド型」というタイプもあり、これは各キャラにタイミングごとの行動が指示されているため、流れがある程度固定されているのだとか。
クローズド型も機会があれば見てみたいと思っています。

また、中国ではシナリオに合わせてコスプレすることでより感情移入しやすくするということが行われており、
私も前述の『Death Wears White』のプレーヤーがナース服や白衣を着ているのを見たことがあります。

現在、マーダー・ミステリーのゲームは日本ではほとんどプレーされていないと思いますが、
『パンデミック:レガシー』や『T.I.M.E ストーリーズ』が話題になったことで遊び切りのゲームがある程度認知されていること、
リアル脱出ゲームのような体験型のアクティビティーが人気を博していることを考えると、
日本でもそれなりに流行る素地はあるのではないかという気がしています。
この「事前に決められた設定に沿ってロール・プレーをしながら目的達成を目指す」というジャンルは、シナリオ次第でいろいろな可能性がありそうです。

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