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2018年10月14日 (日)

【書評】『世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事』

エロ、芸能ゴシップ、そして健康、こういった話題は誰にとっても気になるらしい。
電車に乗れば、週刊誌の広告でその手の記事の煽情的な見出しがあふれている。

健康に関していえば、「〇〇で簡単にやせる」、「1日〇個の××で毎日健康」などといった話題はテレビの定番である。
しかしながら、その手の話題のいったいどれほどがエビデンスに基づいた話なのか。
信憑性を持たせるために医者の先生がもっともらしく解説していることもあるが、果たしてその話は学会内でどの程度支持されているのか。
巷にあふれる怪しげな健康論にメスを入れ、徹底してエビデンスに基づいて健康にいい食事を解説しているのが本書である。

本書の主張は冒頭のこの部分に集約されている。

数多くの信頼できる研究によって本当に健康に良い(=脳卒中、心筋梗塞、がんなどのリスクを下げる)と現在考えられている食品は、①魚、②野菜と果物(フルーツジュース、じゃがいもは含まない)、③茶色い炭水化物、④オリーブオイル、⑤ナッツ類の5つである。逆に、健康に悪いと考えられているのは、①赤い肉(牛肉や豚肉のこと。鶏肉は含まない。ハムやソーセージなどの加工肉は特に体に悪い)、②白い炭水化物、③バターなどの飽和脂肪酸の3つである。(p.28)

注目に値するのは、糖質ダイエットに関連して「肉は糖質が少ないから多めに食べても問題ない」という意見が見られる中で、赤い肉は身体に悪いと明確に述べていることだ。
ここでいう「身体に悪い」というのは疾病にかかるリスクが増えるという意味であるところ、体重を減らすという目的ができればひとまずいいのだという意見もあるかもしれないが、追跡調査の結果、赤い肉を食べている人は体重が増加したというデータがある(p.53-56)。
もっとも、これは観察研究の結果であり、体重を増えるような食生活をしている人は赤い肉を好みがちであると言った方が正しい可能性もある。

また、同様に糖質ダイエットに関していうと、果物には果糖という糖質が多いので推奨されないことが多い。
しかし、果物には血糖値の上昇を抑える食物繊維も多く含まれるので、ほとんどの果物は丸ごと食べればそれほど血糖値が上がらない。
食品の中の成分にのみ注目する考え方を栄養至上主義(ニュ-トリショニズム)というそうなのだが、健康に良いイメージのあるβカロテンなどはサプリメントとして摂取し続けるとむしろ有害であるという研究結果があるそうだから恐ろしい。

本書で役に立つのは、食品の人体に対する影響もさることながら、ある研究結果を参考にできる程度の指針を記していることだ。
「ランダム化比較試験」は「観察研究」よりも信憑性が高く、ランダム化比較試験をまとめたメタアナリシスはより強力なエビデンスとなる。
食品に関する研究結果の紹介の際にもこれらの用語を使っているので、どの程度のエビデンスがあるのかわかりやすくなっている。

もっとも、注意すべきことは、筆者も触れているように、健康に悪いとされている食品をまったく食べるべきではないというわけではないことだろう。
砂糖が身体に悪いからといって、甘いものを食べずに暮らし続けるのはつらい。
ストレスがたまれば他の疾病の原因にもなろう。
食品の人体に対する影響を知識として知っておきつつ、リスクと効用を勘案して自分の中で折り合いをつけて生くのが望ましい。

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