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2019年2月 3日 (日)

映画『選挙に出たい』感想

映画『選挙に出たい』を見た。
中国に関心がある方であればどこかで名前を聞いたことがあるであろう有名人、李小牧氏の選挙活動に密着したドキュメンタリー映画だ。
この記事で映画になっていることを知り、調べたところ名古屋でちょうど上映されており、しかも李氏の舞台あいさつもあるというので急遽観に行った。

私は大学時代に、ある地域政党から立候補した先輩の選挙活動を手伝った経験があるのだが、小政党、または無所属の選挙というのは大変だ。
大政党に所属していれば選挙活動のノウハウなどを教えてもらえるし、ボランティアを手配してもらえるので単純に人手の面でもずいぶん楽だ。
一方、無所属の候補者は友人知人親族に声をかけて地道に支援者をかき集めざるを得ない(なお、「選挙活動」のために有償で人を雇うことは法律上認められていない)。
映画では李氏の前妻と、その間の息子が選挙活動を手伝う場面が出てくるが、現妻でなく前妻というのが李氏の人生の面白いところだ。

選挙では、立候補者がそれまでに築いた人間関係が一気に問われるし、人間の良い面にも悪い面にも触れることになる。
私が手伝った先輩は当時20代と若かったこともあって、その点で辛辣な言葉を投げかけられたことがあったが、
中国出身の李氏となれば辛辣どころかヘイトスピーチのような言葉が飛んでくる。
時々、立候補者には何を言っても許されると勘違いしている節がある人がいるのだが、あれはいったいどういう環境で育ったらそうなるんだろうか。
映画では、李氏が演説中に通行人から「帰れ!」と声を掛けられ、それに対して「どこへ帰れと言うんですか」と返して対話を迫る場面が印象的だ。
一方、投票日前日、選挙戦最終日にホストたちが応援に駆け付ける場面は、これぞ選挙戦の醍醐味だという感じがする。
選挙とは一種のお祭りなのだ。

ヘイトまがいの言葉でなくても、明らかに外国人に対して無理解だと感じる意見は映画中でいくつか出てくる。
例えば、「李小牧」という名前だけを見て韓国出身だと勘違いし、「中国の人は嫌いだけど韓国の人なら応援するわ」という女性。
後に中国出身だと告げられると、それじゃあ応援はできないと言うのだが、その程度の理解で何が判断できるというのか。

また、2世3世なら支援するが、1世はダメだという女性。
このような考えは意外と賛同する人が多い気がするし、私もわからないでもないのだが、
このような意見は外国人の危険性を過大に評価している一方で、その子孫のアイデンティティを過小に評価しているという点で問題が大きい。
これは日本社会が抱える「不寛容」という病なのだ。

もう一つ印象的な場面は、予告編でも出てくる、ホストクラブの前で「私に票を入れなくてもいいですから、好きな政党、好きな方に入れてください」と呼びかけるシーンだ。
国民、特に若年層の政治に対する関心が薄れている日本と、民主的な選挙が存在しない中国の出身で選挙に出るために日本国籍を取得した李氏が非常に象徴的に対比されているシーンだと思う。

台湾では選挙のたびに非常に熱心な政治集会が開かれ、その参加者の中には若年層の姿も少なくない。
Facebookを見ていても政治参加をアピールする投稿が目に入ってくる。
対して日本では、Twitter上で政治に物申すことはあっても、政治活動に関わるという経験は一般的ではないだろう。

4月の統一地方選に李氏が再出馬するのであれば、私も東京に行って少しでも何かお手伝いできたらと思っている(というのは願望であり、実際に行く余裕があるかどうかはわからないが笑)。
政治に関心がある人は、いやない人こそ、近隣区域で出馬する候補者を調べて、1時間でも選挙活動を手伝ってもらえたらと思う。
選挙期間中はどこも人手不足なので喜んで受け入れてもらえると思うし、いい経験にもなるだろう。
そうすれば、政治家が意外と身近な存在であることがわかるし、政治にもより強い興味が持てるようになるのではないか。
この映画を見て改めてそんなことを思った。

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