台湾製ホラーゲーム『返校』
台湾の戦後史というのはアンタッチャブルなところがある。
1947年の二・二八事件に端を発する戒厳令の発令があり、「白色テロ」と呼ばれる恐怖政治で思想弾圧が行われた。
多くの知識階級が処刑され、中には権力闘争に巻き込まれて無実の罪を着せられた者もいるそうだ。
このあたりは『図説 台湾の歴史』に詳しい。
『悲情城市』(1989年)、『超級大国民』(1995年)など、二・二八事件に言及する映画が登場したのは、1987年にようやく戒厳令が解かれてからのことだ。
昨年は、『超級大国民』をデジタルリマスター化したり、ボードゲーム『モダンアート』を二・二八事件で処刑された画家・陳澄波の絵でリメイクしたりと、戦後の台湾社会を再評価するような動きが見られた。
くだんの太陽花学運に代表される近年の台湾アイデンティティーの高まりによって、この時期の出来事も再検討が進んでいるのかもしれない。
ホラーゲーム『返校(Detention)』も、このような流れの中に登場した作品であると位置づけることができよう。