【書評】『ファクトフルネス』
海外経験がある人ならわかってくれると思うが、日本人は海外のことを本当に色眼鏡で見る。そして日本になじみのないことを説明するのは実に骨が折れる。これは逆もまた然りで、海外で思わぬステレオタイプをぶつけられることもある。
結局のところ、「日本人は」というか、「人間は」誰しも自分の経験した枠組みの中でしか物事を考えられないのだ。たとえ海外経験があっても地域や時代が違えば話は通じなかったりする。
海外経験がある人ならわかってくれると思うが、日本人は海外のことを本当に色眼鏡で見る。そして日本になじみのないことを説明するのは実に骨が折れる。これは逆もまた然りで、海外で思わぬステレオタイプをぶつけられることもある。
結局のところ、「日本人は」というか、「人間は」誰しも自分の経験した枠組みの中でしか物事を考えられないのだ。たとえ海外経験があっても地域や時代が違えば話は通じなかったりする。
日経ビジネスオンラインで連載されていた「介護生活敗戦記」の書籍版。
科学ジャーナリストを本職とする松浦晋也氏が母親を介護した体験談が書かれている。
書籍化するにあたってずいぶんエモい感じのタイトルに変更されてしまったが、一般読者向けにはこういうタイトルの方がいいのかもしれない。
中国関連の書評を書くたびに言っていることだが、最近は中国関連の本は反中的でないと売れないそうだ。
そのような世知辛いご時世にあって、このようなのほほんとしたタイトルと装丁で本書を出そうと決断した筆者・編集者および関係者の方々にまず敬意を表したい。
近年、「ビッグデータ」という言葉がしきりに喧伝されている。
しかし、データは集めるだけでは意味はない。
ビッグデータの効用を理解し、使いこなしてようやく意味を成すのだ。
本書を要約すると以上のようになる。
エロ、芸能ゴシップ、そして健康、こういった話題は誰にとっても気になるらしい。
電車に乗れば、週刊誌の広告でその手の記事の煽情的な見出しがあふれている。
健康に関していえば、「〇〇で簡単にやせる」、「1日〇個の××で毎日健康」などといった話題はテレビの定番である。
しかしながら、その手の話題のいったいどれほどがエビデンスに基づいた話なのか。
信憑性を持たせるために医者の先生がもっともらしく解説していることもあるが、果たしてその話は学会内でどの程度支持されているのか。
巷にあふれる怪しげな健康論にメスを入れ、徹底してエビデンスに基づいて健康にいい食事を解説しているのが本書である。
近年、AIに関する話題をよく聞く。
AIによって仕事が奪われるだとか、シンギュラリティーが20XX年に到来するとかいった具合だ。
翻訳もAIの活用で一定程度自動化できることが見込まれているらしく、翻訳者である私としては心中穏やかではいられない。
近年、中国関連の書籍は反中テイストのものがよく売れるのだそうだ。
そのため、書き手の質やポジションにかかわらず刺激的なタイトルや表紙のものが書店にあふれている。
日本人が反中的である程度は、中国人が反日的である程度をはるかに上回っているのではないかと感じるほどだ。
一般書でも書名や表紙で内容の良し悪しを判断するのは難しいが、中国関連書籍の難しさはそれを上回る。
したがって、最近は著者の名前で買うことが多い。
新しい出会いがなくなるので寂しいのだが、数千円を課金して何が出るかわからないガチャを引きたくはない。
本書の著者、安田峰俊氏は過去にも『和僑』や『境界の民』といった良質なルポを出しているため、大外れすることはないだろうと安心して購入した。
この本を知ったのは何かの書評を通じてだったと思う。
その書評には、「鳥類学者が書いたエッセイは面白い」といった内容のジンクスが書かれていたように記憶している。
もちろんそこにはなんの因果関係もありゃしない。
しかし、同じく鳥類学者が書いた『ダチョウ力』も面白かったので、その主張に根拠のない説得力を感じて本書を手に取ったのだ。
グローバル化の進展による弊害のひとつとして、外来種の侵入というものが挙げられる。
人間同士の世界的な交流が増えると、動物や植物の移動も頻繁になり、結果としてある地域に本来はいないはずの種が定着するということが起こるのだ。
日本にはブルーギルやアライグマなどの外来種が入ってきているし、一方で日本産のイタドリやワカメなんかは海外で猛威を振るっている。
安田峰俊氏といえば私が初めて読んだのは『独裁者の教養』でした。
8人の独裁者についての伝記と、地図に載っていない「独裁国家」であるワ州への潜入記が大変に面白かったのですが、
一方で展開されていた加藤嘉一氏への批判が不要なのにわざわざ書いたように感じられました。
この加藤氏批判が引っかかってしばらく安田氏の本は避けていたのでなぜこの本を買ったかよく覚えていません。
Twitterの誰かのツイートだった気はしています。
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